障害者手帳とどう違う
障害年金と障害者手帳は別物です
「障害者手帳を持っていれば障害年金はもらえるの?」
こんな質問を受けることがあります。障害者手帳を持っていれば自動的に障害年金がもらえると思っている方は結構多いのではないでしょうか。障害年金と障害者手帳は別物です。規定する法律、保証の内容、役所の管轄も全く違います。
障害者手帳の等級と障害年金の等級も異なります。身体障害者手帳4級でも障害年金2級の方もいます。精神障害者手帳3級でも障害年金2級の方もいます。なぜなら、障害状態を認定する基準自体が異なるからです。
また、障害者手帳は福祉制度であり、障害年金は原則として保険制度です。障害者手帳は福祉制度なので規定された障害状態であれば必ず手帳は発行されます。一方、障害年金は原則として民間の保険制度と変わらないので「年金保険料を納付していたか」のような条件をクリアしないともらえません。もっとも20歳前に初診日がある方は年金保険料の納付について無条件で請求できます。
障害者手帳は3種類あります
障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3種類があります。これらはいずれも公共料金等の割引や税金の減免などのサービスを受けられるものであり、自治体によってサービス内容が異なっています。管轄は都道府県、政令指定都市などです。手続きは住所地の役所の窓口にご相談ください。
提出書類には、医師が作成した診断書(意見書)などが必要になります。ただし、精神障害の障害年金受給者の場合は、手帳用の診断書の代わりに年金証書のコピーを提出すると、障害年金と同じ等級の手帳が交付されます。
身体障害者手帳
身体障害者福祉法に基づき、都道府県知事等によって交付されます。9種類の障害の種類があり、重度の側から1~7等まで等級が定められていますが、7級単独では手帳の交付対象になりません。障害を認定する時期は、障害の種類によって異なります。更新については、不要(永久認定)となることが多いですが、再認定が必要な場合もあります。
障害年金との関係では、一般的に手帳の等級より障害年金の等級の方が低いです。しかし、年金の方が高い等級になる場合もあります。例えば一下肢の切断については、「手帳4級、年金2級」です。
精神障害者保健福祉手帳
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、都道府県知事等によって交付されます。交付対象は精神障害者であり、知的障害者は除外されます。重度の側から1~3級まであり、2年ごとに認定を受けます。交付には初診から6か月以上経過していることが必要です。障害年金の受給者は、手帳の診断書の代わりに年金証書のコピーを提出すると、障害年金と同じ等級の手帳が交付されます。障害年金との関係では、手帳と年金の等級が一致していることが多いです。しかし、手帳3級で年金2級の方も散見されます。
療育手帳
厚生事務次官の通知に基づき都道府県知事等がそれぞれの判断で実施要項を定めて交付されます。交付対象は知的障害者です。等級は自治体によって名称が異なります。例えば、東京は1~4度、埼玉県はⒶ(Aの丸囲み)・A・B・C、神奈川県はA1・A2・B1・B2など、多段階区分の区分が定められています。一般的に療育手帳を取得するレベルであれば、障害年金2級以上に該当する可能性があります。