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がん・血液疾患の障害

ガン(悪性新生物)による障害認定基準

※ 障害認定基準を省略し、解釈を加えています

●抗がん剤治療の副作用による全身衰弱なども対象

ガンの認定では、全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、ガンという疾患の本質から不自然となってしまいます。そこで、認定にあたっては組織所見とその悪性度、一般検査、特殊検査、検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果などを参考として、認定時の具体的な日常生活などにより、「総合的に認定」されます。
ガンの障害は、次のように区分されています。

がん1

つまり、ガンの場合、局部の障害に限らず、ガンそのものや「抗ガン治療」による全身の衰弱なども対象になります。

●障害認定の決め手は「日常生活の支障」

がんの障害認定では、全身の衰弱が重要視されます。
例えば、血液検査の数値が正常値内であっても認定されることもあります。衰弱といえば、体重減少やヘモグロビンの数値などが重視されますが、検査数値が悪くなくても諦めてはいけません。あくまでも、総合的にみて全身の倦怠感が日常生活に支障を与えていると判断された場合は認定されます。

1~3級の「障害の状態」の例示は次のとおりです。

がん3

補足しますと、「歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの」と診断された場合は、2級か3級か微妙です。このような場合は、自覚症状と他覚症状の程度などを総合的にみて等級が決まるようです。

また、転移性ガンは、原発とされるものと組織上一致するかどうか、転移であることを医学的に確認できたものについては、「相当因果関係」があると判断されます。

●ガンの「痛み」も対象

ガンは全身に転移する可能性があります。そして、大変な痛みを伴うことも少なくありません。この苦痛をどのように、障害年金の審査に反映してもらえるのでしょうか?
認定基準によると、悪性新生物に随伴する疼痛等は、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見などにより次のように取り扱うこととされています。

がん2

血液・造血器疾患による障害


血液・造血器疾患による障害の程度は、次により認定する。


認定基準


血液・造血器疾患による障害については、次のとおりである。

血液・造血器疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び症状の経過等(薬物療法による症状の消長の他、薬物療法に伴う合併症等)、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

認定要領

(1) 血液・造血器疾患は、臨床像から血液・造血器疾患を次のように大別する。
ア 赤血球系・造血不全疾患(再生不良性貧血、溶血性貧血等)
イ 血栓・止血疾患(血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症等)
ウ 白血球系・造血器腫瘍疾患(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)

(2) 血液・造血器疾患の主要症状としては、顔面蒼白、易疲労感、動悸、息切れ、発熱、頭痛、めまい、知覚異常、紫斑、月経過多、骨痛、関節痛等の自覚症状、黄疸、心雑音、舌の異常、易感染性、出血傾向、血栓傾向、リンパ節腫脹、肝腫、脾腫等の他覚所見がある。

(3) 検査としては、血球算定検査、血液生化学検査、免疫学的検査、鉄代謝検査、骨髄穿刺、リンパ節生検、骨髄生検、凝固系検査、染色体検査、遺伝子検査、細胞表面抗
原検査、画像検査(CT検査・超音波検査など)等がある。

(4) 血液・造血器疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

(5) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

(6) 検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、血液・造血器疾患による障害の程度の判定に当たっては、最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする。特に、輸血や補充療法により検査数値が一時的に改善する場合は、治療前の検査成績に基づいて行うものとする。
(7)血液・造血器疾患の病態は、各疾患による差異に加え、個人差も大きく現れ、病態によって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、認定に当たっては前記(5)のA表及びB表によるほか、他の一般検査、特殊検査及び画像診断等の検査成績、病理組織及び細胞所見、合併症の有無とその程度、治療及び病状の経過等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
(8)造血幹細胞移植の取扱い
ア 造血幹細胞移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、移植片対宿主病(GVHD)の有無及びその程度、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。
イ 慢性GVHDについては、日本造血細胞移植学会(ガイドライン委員会)において作成された「造血細胞移植ガイドライン」における慢性GVHDの臓器別スコア及び重症度分類を参考にして、認定時の具体的な日常生活状況を把握し、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に認定する。
ウ 障害年金を支給されている者が造血幹細胞移植を受けた場合は、移植片が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1 年間は従前の等級とする。