難解な「ことば」をやさしく解説

障害年金制度を理解するには「ことば」の意味が大切です。

しかし、難しい法律用語で説明されても理解できません。

法律用語の意味がわからないとキチンとした請求ができないこともあります。

ここでは難解な「ことば」をできるだけやさしく解説します。

最後まで読み進めば、大まかな制度の仕組みが理解できるでしょう。

公的年金と障害年金

●公的年金は2階建て構造

障害年金は公的年金制度から支払われる給付の一つです。
公的年金制度には国民年金、厚生年金、共済年金の3種類があります。
この制度は2階建て構造になっています。

1階部分の「国民年金」は、3種類の公的年金制度に共通する基礎部分です。
この共通部分の年金は強制加入となっています。国民年金にのみ加入している人は、自営業者、サラリーマンの妻、学生、失業者などです。

2皆部分の「厚生年金」「共済年金」は上乗せ部分です。民間のサラリーマンや公務員などを対象としています。つまり、サラリーマンや公務員などは国民年金と厚生年金・共済年金の両方の制度に二重加入していることになります。

●サラリーマンはダブルでもらえる

では、障害年金は各年金制度からどのように支給されるのでしょうか?

自営業者やサラリーマンの妻などは、国民年金から1〜2級の「障害基礎年金」が支給されます。

サラリーマンや公務員などは、国民年金から1〜2級の「障害基礎年金」が支給され、さらに上乗せ部分である厚生年金・共済年金から1〜3級の「障害厚生年金」「障害共済年金」が支給されます。
つまり二重に加入しているので、二つの年金が支給されることになります。

先頭

 

障害年金の仕組みと支給額

●障害年金は生活の安定を図るための所得保障

公的年金制度は、国民の生活を守るための所得保障です。この制度では、加入者の生活が困難になった場合に備えて、3種類の年金を用意しています。

年をとって働けなくなり、支給される「老齢年金」。
一家の大黒柱が亡くなって、支給される「遺族年金」。
病気やケガで働けなくなり、支給される「障害年金」。
障害年金は、公的年金加入中に発生した病気やケガによって日常生活に支障がある場合、または十分に働けない状態となった場合、本人の所得保障とその家族の生活安定を図るために支給される年金なのです。

●配偶者や子供がいると加算されることも

障害年金の所得保障とは、1年間に金額にしていくらなのでしょうか?
支給額は「どの公的年金に加入しているか」「障害等級が何級か」よって異なります。
国民年金からは1〜2級の障害基礎年金が支給されます。

障害基礎年金は定額で1級約100万円、2級は約80万円となっています。また、子供がいる場合は1人当たり約22万円が加算されます。ただし子供が3人以上いる場合、3人目からは約7万円となり加算額が減少します。

厚生年金からは1〜3級の障害厚生年金が支給されます。その支給額は給料から天引きされている保険料の額に比例して決められます。また、1〜2級には、65歳未満の配偶者がいる場合に約22万円が加算されます。3級には約60万円の最低保障額が設定されていますが、障害基礎年金部分や配偶者の加算がありません。

先頭

 

障害年金の対象となる傷病

●ありとあらゆる病気やケガが対象

障害年金の対象となる病気やケガは限定されていません。
眼や耳の病気や、手や足の障害などの「外部疾患」だけでなく、ガン、糖尿病、心臓病、肝臓病、腎臓病、高血圧など「内部疾患」や、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病など「精神疾患」が対象となります。

つまり、ありとあらゆる病気やケガが対象ということです。
障害年金の認定基準によると、対象となる傷病は「疾病又は負傷」およびこれに「起因する疾病」と定められています。

「起因する疾病」とは、前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうというように、前の疾病又は負傷との間に因果関係がある病気をさします。
例えば、交通事故が元で精神障害となっても障害年金は支給されます。

●高次脳機能障害、アル中、HIVも対象

高次脳機能障害、アルコール中毒、HIV感染症なども受給できます。
また、障害認定基準は「難病」についても、日常生活能力などの程度を十分に考慮して総合的に認定するとしています。

moraeta

 

先頭

 

障害の状態・等級

●「日常生活能力」「労働能力」がカギ

障害というと、まず事故による手足の負傷による外部疾患を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、障害年金は、手や足などの外部疾患だけでなく、ガンなどの内部疾患、うつ病などの精神疾患も支給対象です。

したがって、障害年金でいう「障害の状態」とは千差万別です。障害認定基準では、傷病ごとに「障害の状態・等級」が詳しく解説されていますが、すべての病気やケガごとにその状態を網羅しているわけではありません。

外部疾患や内部疾患では、検査数値で比較的容易に等級の判断がつきます。しかし、精神疾患については障害の状態を検査数値で示すことができません。そこで障害等級の判断にあたっては、「日常生活能力」や「労働能力」が重要なカギを握ります。

目や耳などの疾患では、検査数値で一律に障害等級が決まる例外もありますが、「障害によって日常生活にどんな悪影響があるのか」ということは、外部・内部・精神のすべての疾患で共通の判断基準の一つです。

●2級の目安は「働くことができない」

障害等級1〜3級に認定される「障害の状態」の目安は次の通りです。

補足説明しますと、全盲の人は働いていても1級の認定を受けます。
また、知的障害などの人で福祉的労働に従事していても、2級の認定を受けることがあります。つまり福祉的労働では労務可能とは認定されません。

先頭

 

障害認定基準

●障害認定基準は等級を決める「解説書」

どんな病気の方が、どんな状態で、どんな条件なら障害年金が受けられるのでしょうか?
障害の状態を定めた大枠が国民年金法、厚生年金保険法などの法令で定められています。法令で定められた障害の状態の解説書が「障害認定基準」です。実際の障害年金の等級は、この解説書によって判断されます。

例えば、交通誘導警備員のAさんが事故で右足を切断した場合、
障害等級では何級に該当するでしょうか?

障害認定基準を「肢体の障害」部分を参照してみましょう。
Aさんの障害等級は、どの関節から足を失ったかによって判断されると規定されています。
その関節の部分は、具体的に医学用語で示されています。
・ショパール関節以上で欠くもの→2級
・リスフラン関節以上で失ったもの→3級

障害認定基準によると、Aさんはショパール関節以上の足を失っていたので2級に該当しました。このように障害認定基準を参照することで、どの程度の障害が何級に該当するかが判断できます。

●精神病やガンにも認定基準がある

障害認定基準では、「眼」「聴覚」「鼻腔機能」「平衡機能」「そしゃく・嚥下機能」「言語機能」「肢体」「体幹・脊柱」「精神」「神経系統」「呼吸器」「心疾患」「腎疾患」「肝疾患」「血液・造血器疾患」「代謝疾患」「ガン」「高血圧症」「その他の疾患」の項目ごとに詳しく基準が解説されています。
このホームページにも障害認定基準が掲載されています。ご参照ください。

先頭

 

受け取るための3つの条件

障害年金を受け取るには、次の3つの条件すべてにあてはまることが必要です。


●初診日に加入していた年金制度が重要

障害の原因となった病気やケガの初診日の時点で、公的年金制度(国民年金、厚生年金、共済組合)に加入していたかを確認します。
公的年金制度の共通部分の「国民年金」については、20〜60歳までの人は強制加入です。そこで、この年金加入要件では、上乗せ部分である「厚生年金」や「共済年金」に加入していたかが確認の上で重要となります。また、初診日が20歳前傷病の場合は加入要件を問われません。

●自営業者は未納期間に注意

初診日までに保険料をキチンと納めていたかを確認します。自営業者などが国民年金の保険料を滞納している場合に、条件を満たさないことがあります。サラリーマンや公務員などは保険料が「天引き」されているので一般的には問題ありません。また、初診日が20歳前傷病の場合は納付要件を問われません。

●初診日から1年6カ月たった日の障害状態を確認

初診日から1年6カ月たった日を「障害認定日」といいます。

この「障害認定日」に障害の状態が定められている程度に該当するかを確認します。障害の程度は、1・2級は日常生活能力、障害厚生年金の3級は労働能力を目安とします。
「障害認定日」から1年以上請求が遅れると「請求日」にも障害の程度を確認します。

3つの条件を確認する日は次の図の通りです。


先頭

 

初診日とは

●初診日は「一番大切な日」

初診日は障害年金の世界では「一番大切な日」とされています。
なぜ一番大切な日とされているのでしょうか?
その理由は、初診日を中心として様々なことを確認するからです。

第一に初診日に国民年金、厚生年金、共済年金の3種類の年金制度のうち、
どの年金制度に加入していたかを確認します。
初診日の時点で加入していた年金制度から障害年金が支給されることになります。
各年金制度によって支給額などに差があります。

第二に初診日を中心に保険料が、今まで保険料をきちんと納めてきたか確認します。
未納が長期間あると、障害年金が支給されないこともあります。

第三に初診日から原則1年6カ月経過した日に、お体の調子である「障害の状態」を確認します。この1年6カ月経過日の障害の状態によって、「支給されるか、または何級に該当するのか」が決まります。つまり、初診日は障害の状態を確認する日を決める起点となります。

●初診日には様々なケースがある

こんなに大切な初診日ですが、その初診日を確定することは容易ではありません。
なぜなら、初診日は単に「はじめて医者の診療を受けた日」だけではなく、具体的に次のような日とされているからです。


先頭

 

初診日を決める「相当因果関係」

●過去の病気の初診日も重要

糖尿病では眼や腎臓などに病気を併発することがめずらしくありません。
糖尿病で目の病気である網膜症になった場合、「初診日」はいつになるでしょうか?
実は網膜症の初診日ではなく、糖尿病の初診日までさかのぼります。
つまり、糖尿病と網膜症では「相当因果関係」があると判断されます。

「相当因果関係」とは、初診日を決める上で重要な考え方の一つです。
その意味を簡単にいうと、過去の病気と現在の病気に関連性があるかということです。

障害認定基準によると、もし前の病気やケガなければ、後の病気やケガは起こらなかったであろうと認められる時は、前の病気との間に「相当因果関係」がありと判断して、前後の傷病を「同一傷病」として取り扱うことになっています。

●事故と精神障害は因果関係あり

相当因果関係「あり・なし」と取り扱うケースは次のように示されています。

先頭

 

初診日を決める「社会的治癒<再発>」

●いったん治れば、再発後が初診日

初診日を特定する時に、現在の病気と過去の病気が同じ場合は、再発について確認します。同じ病気であっても、いったん治れば、再発後の病気は「新たな病気」となり、再発後に医者の診療を受けた日が初診日と判断されます。
この治癒の考え方を「社会的治癒」といいます。

「社会的治癒」は、医学的に治癒した場合だけに限定されません。
病気が医学的には治癒していないと認められる場合も、社会的に治癒したと認められることもあります。

●おおよそ5年期間が必要

社会的治癒が認められる場合はケースバイケースですが、整理すると次の通りです。
◆症状が固定し、医療を行う必要がなくなったこと
◆長期にわたり病変や異常がみとめられないこと
◆一定期間、普通に就労していること

働いていても服薬しているなどの場合は、社会的治癒とは認められません。
また、働いていても単に経済的理由から通院していない場合は、社会的治癒ではありません。
一般的に社会的治癒が認められるケースは、5年ぐらい期間が必要とされます。

初診日が変わると、カルテの保存状況により障害認定日に「さかのぼって請求」ができるかなど請求の仕方も変わるので注意が必要です。

先頭

 

重要な保険料納付要件

●病気になってから慌てて保険料を納めてもダメ

障害年金を受けるための条件は3つあります。
その中でも「保険料納付要件」は、手続きを進める上で、最初に確認しなければならない重要な条件です。

公的年金制度の仕組みは、民間の保険制度と同じです。
保険は「もしもの時の備え」といわれます。病気やケガをした後に準備しても、保険に入ることはできません。したがって、障害状態になってから、慌てて保険料を収めても障害年金を受け取ることはできません。

実際には、自営業者や失業者などが国民年金の保険料を滞納している場合に、条件を満たさないことがありますので注意が必要です。

●初診日前の直近1年間に未納がなければOK

では、保険料納付要件が法的にどのように定められているか見てみましょう。

保険料の納付状況は、初診日の前々月までの期間で判断されます。
法律で定められた条件を簡単にいうと、初診日前の1年間に未納がないか、または20歳からの全期間について3分の1以上未納がないかを調べます。どちらかの条件を満たせば受給できます。

初診日の「前日」とは何を意味しているのでしょう?
保険料を滞納していた人が、障害状態になってから、初診日に保険料のまとめ払いをしようとしても認められないということです。
なお、初診日が20歳前にある場合は、納付要件は問われません。

先頭

 

障害認定日とは

●初診日から1年6カ月目にスポット

障害認定日とは、お体の具合である「障害の状態」を確認する基準日です。
原則として初診日から起算して「1年6カ月を経過した日」を指します。
この日から3カ月以内の障害の状態にスポットをあてて、支給できるかどうか、支給するとすれば何級に該当するかを判断します。

障害認定日に一定の障害の状態にあると認められると、翌月から年金の支給が開始されます。また、この基準日に一定の障害状態にあると、請求が遅れても、最大で5年間さかのぼって年金が支給されます。

 

●症状が固定すれば障害認定日が早まる

しかし、例外として初診日から1年6カ月経過前でも,その間に病気やケガの症状が固定すれば、その日が障害認定日となります。「症状固定日」とは、療養の効果が期待されない状態のことで、基本的に医者がその判断をすることになります。

また、病気の種類によっては、療養中であっても症状固定とみなされ、初診日から起算して1年6カ月経過を待たずに、 前倒し的に障害認定日とされる場合があります。

先頭

 

タイプ別の請求時期

障害認定日に障害等級に該当していれば、翌月から支給が開始されます。
また、障害認定日に障害等級に該当していれば、たとえ請求が遅れても、最大で5年間さかのぼって支給されます。           
では、初診日から1年6カ月たった日は症状が軽くて障害等級に該当せず、その後に重くなった場合はどうなるのでしょうか?
実は「障害認定日」に障害等級に該当しなくても、後から請求はできます。しかし、年齢制限があり、支給開始は請求した月の翌月からになります。このように障害の程度を審査してもらう時期によって、請求のタイプ別に条件が定められています。

主なタイプ別の請求時期は次の通りです。

●初診日から1年6カ月たった日に請求するタイプ

〜「認定日請求」「本来請求」といいます。初診日から1年6カ月たった日に、障害等級に該当すれば翌月から支給されます。年齢による制限もありません。また、脳血管障害、人工骨頭などは障害認定日が1年6カ月経過前に前倒しされます。

●初診日から1年6カ月たった日まで、さかのぼって年金が支給されるタイプ

〜「遡及申請」といいます。請求時期が遅れたものです。障害認定日に障害等級に該当すれば、最大で5年間さかのぼって支給されます。

●初診日から1年6カ月以降に病状が悪化し、さかのぼり支給のないタイプ

〜「事後重症」といいます。初診日から1年6カ月たった障害認定日では病状が軽くて、障害等級に該当していませんでした。しかし、その後に病状が悪化した場合は、悪化した日以降に請求することができます。この場合の支給開始時期は、障害認定日までさかのぼりません。また、65歳になると請求できなくなります。

先頭

 

障害手当金 (厚生年金)

●支給は1回だけの「一時金」

厚生年金の加入者には手厚い保護があります。障害等級が3級より軽くても、一定の障害に該当すれば、お金がもらえます。この制度を「障害手当金」といいます。
お金は一回しか支給されません。 年金のようには毎年支給されるわけではありません。

●初診日から5年以内に「治っている」ことが条件

支給要件は、病気やケガにより、初診日から5年以内にその病気やケガが治っていて、障害の程度が「障害手当金」の障害等級表に該当している場合に支給されます。
病気やケガが「治っている」という状態は、症状が固定していて、治療の効果が期待できない状態をいいます。治っていなければ障害等級3級に該当する場合もあります。
その他の要件は、障害厚生年金と同じです。厚生年金に加入中に初診日がある病気やケガが原因であることが必要です。

●年金額は最も少なくても約110万円

障害手当金の額は、3級の障害厚生年金の金額の2年分です。年金額の計算では、加入期間が25年に満たなくても25年加入したものとして計算されます。
また、最低保障額として約110万円が設定されています。
配偶者加給はありません。

●他の年金をもらっている人は対象外

病気やケガが治った日において、厚生年金・国民年金・共済年金のどこからか年金を受給できるときは、障害手当金は支給されません。したがって、老齢年金や遺族年金をもらっている人も対象外です。また、実際にもらっていなくても、受け取る権利を持っているというだけで、支給されません。

もっとも1〜3級に該当しなくなってから3年以上経っている場合は例外があります。このときは、以前とは別の病気やケガが原因で、再び障害手当金の受給要件を満たしたときには支給されます。

また、同じ病気やケガが原因で、労災保険から障害補償給付や障害給付を受けられる場合も支給されません。

先頭

 

20歳前傷病(国民年金)

●20歳前に病気やケガをしても支給

20歳から国民年金は強制加入になります。
一方、18歳で就職し、20歳になる前から厚生年金に加入している人もいます。
その人は、20歳前に病気やケガをしても障害年金が支給されます。

しかし、20歳になる前に病気やケガで障害状態になり、どの年金制度にも加入していない場合は、どうなるのでしょうか?
実は、20歳になる前に病気やケガをした場合は、原則として20歳になった時に障害等級に該当すれば、国民年金から「障害基礎年金」が支給されます。 また、20歳になったときに障害等級に該当しなくても、その後、65歳になる前に障害等級に該当すれば、障害年金が支給されます。



●所得制限があります

20歳前傷病によって支給される障害年金を受けている人は、保険料を納めていません。
それを理由として、障害年金をもらいながら働いている人は、所得が一定額を超えると全額または2分の1が支給停止になります。

生まれながらの障害や知的障害を有している人は、この20歳前傷病による障害年金を支給されることがあります。また、統合失調症などの思春期に発病することが多い精神病の人も、この障害年金を受けることができます。

先頭

 

特別障害給付金(国民年金)

●学生やサラリーマンの妻などが対象

初診日が20年以上も前にあり、当時、国民年金に加入しなかった人に救済措置があります。具体的には、学生時代やサラリーマンの妻であった時に国民年金保険料を納めていなかった人が対象です。

昭和61年4月から、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に強制加入になりました。

それ以前は、加入しなくてもよい「任意加入」という制度がありました。そのため、サラリーマンの妻や学生の中には、任意加入していない人が多くいました。

障害基礎年金を受給するには、「初診日において被保険者であること」という加入要件があります。したがって、初診日時点で任意加入していない人は障害年金がもらえません。そんな人達を救うために平成17年4月から給付金を支給することになりました。
この給付金は「特別障害給付金」といいます。

●請求しないともらえません

「特別障害給付金」は請求しないともらえません。
この制度は、請求の翌月から支給されるもので、過去の分は支給されません。
そのため請求が遅れた分は、もらい損ねてしまいます。
請求には年齢制限があります。請求が65歳をすぎるともらえません。

●給付金の額は年50〜60万円

「特別障害給付金」の額は等級に応じて決まっています。
・1級=約60万円
・2級=約50万円
1級は2級の1.25倍の額です。子の加算はありません。

●所得制限があります

働いいている人には所得制限があります。「20歳前傷病」と同じです
・給付金の全額支給停止する人=所得が約460万円超
・給付金が2分の1停止する人=所得が約360万円超
※扶養家族がいると人数に応じて所得制限額も大きくなります。

先頭

 

お手続きと必要な書類

●自動的には支給されない

障害年金はもらえる権利を持っていても、自ら請求をしないともらえません。
もらえる障害状態にあるのに、障害年金の存在を知らないために、もらえない人は大勢います。国から連絡があり、自動的に支給してくれる仕組みではないのです。
そこで、実際にどのような手続きが必要なのでしょうか?

障害年金がもらえる障害状態になってから、書面で申し出る必要があります。
具体的には、年金請求書にたくさんの書類をつけて、年金事務所や市町村役場などに提出します。その提出された書類を審査し、障害年金がもらえるかを確認します。

病気やケガの初診日に年金に加入していたか?
しっかり保険料の納付要件を満たしているか?
障害の程度が障害認定基準をクリアーしているか?
――その結果、障害年金がもらえると判断された時に、お金が支給されます。

●いろいろな書面の提出が必要

障害年金の審査では、本人と審査担当者が面談することはありません。
たとえどんなに障害が重くても、それが書面に反映されていないとお金がもらえないのです。書類に記載された内容がとても重要になります。

障害年金の請求書に添付する主な書類は次の通りです。
先頭

 

障害の程度を審査する書類

●医者の診断書が最重要

障害年金が受け取れるかどうか、何等級になるかは、提出された書類のみで審査されます。具体的には、医者が作成する「診断書」や「病歴・就労状況等申立書」の内容によって決まります。

特に重要なのは医者が作成する診断書の内容です。その診断書には、患者の日常生活能力や労働能力を記載する欄があります。障害の程度は、1・2級は日常生活能力、障害厚生年金の3級は労働能力を目安としているので、この欄の記載は重要なポイントとなります。

●「病歴・就労状況等申立書」も大切

しかし、医者は患者の日常生活の様子や仕事の内容をすべて把握しているわけではありません。また、医者が障害年金に精通して、完璧な診断書を作成してくれるとは限りません。

さらに「支給か不支給か」「2級か3級か」などボーダーライン上にある診断書の内容も少なくありません。そこで、「病歴・就労状況等申立書」も重要な役割を担っています。

申立書は本人や代理人などが作成します。本人の自己評価を審査担当者に強くアピールできる唯一の参考資料です。申立書で表現される内容しだいで、「2級か3級か」判断できない診断書の等級を左右することもあります。

●日常生活状況などを簡潔に記入

申立書には、「傷病名」「発病したときの状況」「初診時の医療機関」「病歴」「就労状況」などを記載します。

病歴については、初診から現在に至るまでの経過を記入します。入院の場合は入院期間、通院の場合は通院頻度、受診していない場合は生活状況を記入します。さらに治療の方法やリハビリ内容、日常生活状況などを簡潔に書き込んでいきます。

就労状況については、障害認定日や請求日時点で、実際に仕事をしていかどうかを記入します。仕事をしていたかどうかは、障害年金が受給できるかとは直接的な関係はありません。しかし、障害等級の審査をする上で、実際にどのような仕事に従事していたかは重要になります。

先頭

 

年金請求書の提出先

障害年金を請求しようとするときは、「年金請求書」を提出しますが、請求用紙の提出先は、初診日に加入していた制度によって異なります。

●初診日に厚生年金保険に加入していた人

会社に勤めているサラリーマン、OLなどは、いま勤めている会社を管轄する年金事務所から必要書類をもらい、添付書類をそろえて提出します。また、勤務している会社の支店に勤めている人で、本社で一括して厚生年金の適用を受けている場合も、実際の勤務地を管轄する年金事務所に申請します。 会社を退職したサラリーマン、OLなどは、原則として、初診日に勤めていた会社を管轄する年金事務所ですが、いま住んでいる住所地を管轄する年金事務所でも申請できます。

●初診日に国民年金にのみ加入していた人

サラリーマンの妻などの国民年金の第3号被保険者期間の人は、いま住んでいる住所地を管轄する年金事務所に申請します。

自営業者など国民年金の第1号被保険者期間の人は、住所地の市区役所・町村役場の国民年金課から必要書類をもらい添付書類をそろえて提出します。

●初診日に年金制度に加入していない人

初診日が「20歳前」「60〜65歳末満」にある人で、初診日時点に年金に加入していない人は、住所地の市区役所・町村役場の国民年金課に提出します。

先頭

 

審査請求とは

●「もらえない」と決定されてもチャンスあり

うつ病などの精神病は日常生活能力が重視されます。精神病の障害の重さは検査数値で表せません。したがって、どんな障害等級は認定されるか微妙なものがあります。また障害認定基準に示されている障害等級もすべてが明確なものとはいえません。
そのため、受給できると思っても、不支給になることもあります。

もし最初の請求で「障害年金を受給できない」と決定されても、まだチャンスはあります。まずできることは「審査請求」です。それでもダメなら次に「再審査請求」です。簡単に言うと一度行政が下した結論をひっくり返すための申請になります。

●不服があれば3か月以内に審査請求

「障害年金を受給できない」「決定した障害等級に不服がある」場合は、社会保険審査官に審査請求します。審査請求は、決定から3か月以内にしなければなりません。請求方法は、審査請求書に文章で理由をつけて提出します。

その決定に不服があるときは、通知から2か月以内に社会保険審査会に「再審査請求」することができます。その決定でも納得できなければ、最終的に裁判を起こすこともできます。

しかし、一般の人が審査請求しても、ほとんどのケースで一度下された結論が簡単に覆ることはありません。同じ行政側で審査をする、すなわち身内で審査するため、厳しい判定は期待できません。

難しければ専門家に相談するのも一考です。

障害年金の請求は、最初の申請が一番通りやすく、「一発勝負」の面がありますので、準備は万全にする必要があります。

先頭

 

障害年金と他の給付制度との調整

●障害年金がもらえると、傷病手当金がストップ

サラリーマンが病気やケガで会社を休むと、健康保険から傷病手当金をもらえます。その後、同じ病気やケガで障害年金がもらえると、傷病手当金はストップします。

もっとも、障害年金の額が傷病手当金より少ない場合には、傷病手当金から障害年金を引いた差額をもらうことができます。

●65歳からは老齢・遺族厚生年金と同時に受給

年金には「1人1年金」という原則があります。そのため、1人の人が2つ以上の年金を受給できるようになったとき、いずれか一つを選択しなければなりません。

障害基礎年金と障害厚生年金をもらっている人で、65歳から老齢厚生年金や遺族厚生年金もらえる人は、2階部分の障害厚生年金に代えて老齢厚生年金や遺族厚生年金を選ぶことができます。つまり、金額的に有利な方を選択できるということです。

●障害年金がもらえると、労災保険側で減額

サラリーマンが仕事中や通勤途中で病気やケガをすると、労災保険から年金をもらえることがあります。同じ病気やケガで障害年金がもらえると、労災保険のほうが減額され、障害年金は全額もらえます。労災保険が減額される割合は、障害年金の種類によって減額率が決められています。

一方、労災保険の障害一時金や特別支給金は、障害年金をもらっても減額されることはありません。

例外として、20歳前傷病による障害基礎年金をもらっている人が、労災保険からも年金を受給できる場合は、労災保険が全額支給となり、障害基礎年金が支給停止されます。

先頭

 

障害が重くなったら金額アップを請求

●障害の程度が変われば年金額も変わる

障害の程度は必ずしも固定したものではなく、時によって変動することがあります。
うつ病で障害厚生年金3級をもらっている人が、症状が悪化し、会社を辞めて治療に専念することになりました。この場合、障害等級は変更されるのでしょうか?

障害の程度が重くなったとき、または軽くなったときは、障害等級も変更されます。年金額も変更後の障害等級に改定されます。

●厚生労働大臣の審査で改定される

障害年金を受給している人は、毎年誕生月に、現況届という書類を日本年金機構か市町村役場に提出します。その際または現況届が不要な場合にも、現在の障害の程度を確かめる必要のある人は、1〜5年ごとに診断書(障害状態確認届)を提出しなければなりません。

その提出された診断書によって、厚生労働大臣が審査し、障害等級に変更があると認めたとき、年金額が改定されます。

●悪化したときは自分で請求できる

障害の状態が悪化したときは、厚生労働大臣に年金額の改定を請求します。受給権者側から請求できるのは主に悪化したときです。

ただし、障害年金の受給権を取得した日、または厚生労働大臣の審査を受けた日から起算して1年経過しなければ行うことができません。

例外として「現況届」による審査の結果、従前の障害等級と変わらないと認定されたときは、1年経過する前に年金額の改定を請求できます。

先頭

 

Copyright© 2013 NPO Salvage All Right Reserved

●TOPページ ●ことば解説 ●障害認定基準 ●障害年金講座(マンガ解説)
●社会保険労務士の紹介 ・公的年金と障害年金 ・眼の障害
・障害年金の趣旨は?
●代行申請の料金とサービス ・障害年金の仕組みと支給額 ・聴覚の障害 ・行政の対応は?
●サルベージとは ・障害年金の対象となる傷病 ・鼻腔機能の障害 ・結局、いくら年金もらえるの?
●障害年金のきほん ・障害の状態・等級とは ・平衡機能の障害 ・社労士の報酬は?
●Webマンガでわかる障害年金 ・障害認定基準とは ・そしゃく・嚥下機能 ・どんな病気でもらえるの?
●障害年金Q&A ・受け取るための3つの条件 ・言語機能の障害 ・「もらえる条件」って何?
・初診日とは ・肢体の障害 ・初診日って何?
・相当因果関係とは ・精神の障害 ・初診日がなぜ大切なの?
・社会的治癒(再発)とは ・神経系統の障害 ・保険料納付要件って何?
●サイト内検索 powered by Google
・重要な保険料納付要件とは ・呼吸器疾患 ・障害認定日って何?
・障害認定日とは ・心疾患 ・障害等級って何?
・タイプ別の請求時期 ・腎疾患 ・診断書で重要なことは?
・障害手当金とは ・肝疾患 ・いつお金はもらえるの?
・20歳前傷病とは ・血液・造血器疾患 ・働いたらストップするの?
・特別障害給付金とは ・代謝疾患 ・不服なら行政に楯突こう!
・お手続きと必要な書類 ・がん
・審査する書類 ・高血圧
・年金請求書の提出先 ・その他の疾患
・審査請求
・他の給付制度との調整
・障害が重くなったら