亀山と花恵の「障害年金講座」

花恵「さて、マンガは一件落着したけど、やっぱり障害年金って仕組みがよくわかんな〜い!」
亀山「そうですね。本当に難しいですね。だけど私みたいな熱血漢の障害年金専門の社労士に頼んじゃたら、失敗が少ないと思いますよ。僕たちは行政窓口の人が教えてくれないテクニック知っていますから!それで食べていますからね〜〜〜!(^^)!」

花恵「ふ〜〜ん。マンガの中に出てくる法的なこと、最後まで全然分からなかったわ。これから圭太さんが障害年金をもらい続けることができるのかも不安なの。もっともっと詳しく障害年金について教えてよ。きっと読者さんも知りたがっているわよ。ネッ!」

亀山「あの〜〜非常に言いにくいにですが・・・次のうつ病のお客さんからメールが・・・」
花恵「亀山さん!成功報酬しっかり払いましたよね〜〜〜?」
亀山「そっ、それを言われると・・・耳がイタッ(>_<)」
花恵「私にも読者さんにも詳しくご説明しなさい!!」
亀山「………了解です(-_-;)」

先頭

 

障害年金の趣旨は?

では、ここまで読んでくれた読者さん!!
本当にありがとうございます。亀山、感謝の気持ちで一杯です。
そこで、あなたに障害年金制度のツボを、特別に教えちゃいますね。
障害年金は、マンガの圭太さんのように、年金加入中に発生した病気やケガのため、日常生活に支障がある場合、または十分に働けない状態となった場合、本人の所得保障とその家族の生活安定をはかるために支給される年金制度です。

私がマンガの中で『ガンでも障害年金がもらえる』と題して、ガン患者さんの家族会のみなさんに主張したかったことは、「障害年金は、病気やケガで働けなくなった人たちの所得保障」 ということです。
障害年金はあくまで所得保障であり、保険料を納めるという「義務」を果たした人の「権利」なのです。

亀山の演説

障害年金は病気やケガという保険事故に対する保険給付です。その保険の基本的な仕組みは、民間の保険と同じです。民間の保険と異なる点は、保険料を納めることが困難な人にも給付する例外があることです。国の制度なので福祉的救済措置があるわけですね。

もし、あなたが請求をためらっているのなら、障害年金の趣旨を誤解しているかもしれません。「権利の主張だ」ということを忘れないでください。

私は、病気やケガで生活が苦しい人々に、ためらわずに申請してほしいと願っております。また、一人では請求が難しいとお考えの人には、マンガと同様に全力でサポートいたします。

先頭

 

結局、いくら年金がもらえるの

花恵「私たち家族は毎年約200万円支給されるようになって本当に助かったわ。ところで年金額の計算についてはチンプンカンプン。審査請求後にとても金額が増えたけど、どういうこと?計算が苦手だから簡単に説明してください」

わかりました。
誤解を恐れずに、わかりやすく解説します。

私が圭太さんの障害年金を最初に申請した時は「3級」となり、支給額は年間約60万円でした。
その後に行政に文句(審査請求)を言って「2級」となり
年間約200万円にアップしましたね。
その差額は「200万円−60万円=140万円」。大きいですね。

花恵さんがアルバイトで月11〜12万円稼いだとして、年収140万円になります。ちょうどその差額分ですね。
だから、とっても大きい額だと実感できるでしょ。

その140万円の内訳には、「配偶者加給」と「子の加算」が含まれています。圭太さんの障害年金には、花恵さんと子供たち2人分の生活費が含まれているということです。
◆配偶者加給 約20万円
◆子の加算  約20万円
◆配偶者加給約20万円+子の加算20万円×2人=60万円

残りのアップ額である80万円(140万円―60万円)は、圭太さん自身の障害等級が2級から3級にアップしたので、支給額が増えた分です。つまり、障害厚生年金2級だと家族の生活費がプラスされますが、3級だと家族の生活費はありません。

3級は「働くことはできるけど、みんなと同じようには無理!」
という程度の障害です。3級の人は軽い労働ならできるとみなされています。だから家族の生活費まではプラスされないのかもしれません。

ここまでの説明でおわかりのように、障害年金は認定される等級によって、その支給額が大きく違います。

障害厚生年金は厚生年金の加入者に支給されます。厚生年金に加入している人は、いわゆるサラリーマンです。
あなたがサラリーマンなら障害厚生年金がもらえる可能性があります。圭太さんもサラリーマン時代があったから障害厚生年金がもらえたのです。
障害厚生年金の等級は、その障害が重い順番に従って「1級、2級、3級」の3種類あります。
支給される額の構造を図でしますと、こんな感じになります。

障害厚生年金図

1〜2級の障害厚生年金は「2階建て構造」になっていて、国民年金から支給される「障害基礎年金」がプラスされます。障害基礎年金の額は定額です。1級が約100万円、2級が約80万円となっています。
さらに、あなたに配偶者やお子さんがいれば、「配偶者加給」約20万円、「子の加算」1人当たり約20万円がプラスされます。もし、あなたの家族が生活に困っていても、安心感を与える所得保障となっています。

ついでですから、国民年金から支給される「障害基礎年金」の額も図を使って説明しますね。国民年金の加入者は自営業者やサラリーマンの妻などです。

障害基礎年金図

国民年金は厚生年金と比べて、とてもシンプルですね。障害基礎年金の等級は、その障害が重い順番に従って「1級、2級」の2種類しかありません。
国民年金に加入していて2級になった場合の支給額は年間約80万円、月額 6〜7 万円となります。「配偶者加給」はありませんが、「子の加算」はあります。

また、厚生年金のような3級は、国民年金にはありません。もし、あなたが3級程度の障害と認定された場合「不支給」となってしまいます。

障害年金の審査はここ数年、とても厳しくなってきていますので、あなたが何も知識を持たずに、行政窓口に申請しても「不支給」になってしまう可能性が十分あります。

あなたが本当は2級程度の重い障害でも、申請書類一式にその障害の程度がしっかり反映されていなければ、「不支給」なることもあるのです。

障害年金の申請には、十分な法的知識や申請書を作成するテクニックが不可欠です。あなたに自信がなければ、NPOや専門家である社労士に相談することをお勧めします。

先頭

 

社労士の報酬は?

花恵「障害年金の支給が決まり、お金が振り込まれてきたので、亀山さんには報酬を払ったわよね。でも不支給だったらどうなの? 報酬とられちゃうの?」

報酬

いいえ、不支給の場合、一切報酬はいただきません。必要経費を除けば、「完全な成功報酬制」です。報酬は初回振込額の2カ月分が目安です。
本当はツライのですけど…(>_<)。

お客様と運命をともにし、お客様を全力でサポートができるように、障害年金が支給されない場合には、一切報酬をいただかない方針にいたしました。

不支給が決まったら、お客様と痛みも共有いたします。
そして、「決してあきらめない」という私のモットーを貫いて行政に対する不服申し立てについても、無料でサポートいたします。

また、所得が少なく生活に困っている人には、成功報酬の分割払いも承っております。

家族同様のサポートを目指しておりますので、ご安心ください。

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障害年金はどんな病気でもらえるの?

花恵「圭太さんは胃がんで障害年金を受給できたけど、普通の人は『ガン』で障害年金を受給できることを知らないでしょう? 実家の母も知らなかったわ・・・他にはどんな病気でもらえるの?」

ガンやうつ病でもらえることは、あまり知られていませんね。
先日、ガンになられた人に障害年金のお話をして大変喜ばれました。
まだまだ制度として普及していない面があります。
私もNPOに所属して普及活動をしていますが、力不足です。政府やマスコミが動かないと、この現状は打開できなと思います。

障害年金の対象となる病気やケガは限定されていません。  
手、足、眼、耳、言語が不自由な人もちろん、
「ガンや難病にかかっている人」
「うつ病などの精神病や精神遅滞の人」
「人工透析を受けている人」
「脳梗塞や脳血管疾患で肢体に障害がある人」
「心臓、肝臓、呼吸器などの病気で障害のある人」
「糖尿病・高血圧で合併症がある人」
などなどの人も対象です。
つまり、ありとあらゆる病気やケガが対象ということです。
重い病気にかかり、障害年金が「もらえる条件」をクリアしているのに、受給していない人が大勢います。悲しいことに……。

先頭

 

「もらえる条件」って何?

花恵「ちょっと、その『もらえる条件』って何なの?そこがよくわからなくて、役所でビビっちゃたの。その条件を詳しく教えください」

そこが難しいのです。
実は説明が長くなるので、本日は割愛させてください。
うつ病の患者さんも待たせているし………ゴメンなさい。

なっ、なんですか?そんな目で見ないでくださいよ。
………分かりました。
話がちょっと長いですよ。覚悟してください。

簡単にいうと、障害年金をもらうには「3つの条件」があります。
まず「初診日時点で年金に加入していること
次に「保険料を一定期間払っていること
最後に「障害の等級に該当する程度の状態であること

この条件にあてはまれば、もらえます。
以上です。
では、私はうつ病の患者さんを待たせているので、
本日はご清聴、ありがとうございました。

先頭

 

初診日って何?

花恵「待ちなさい!その『初診日』って何よ? 結局よくわかんないわ。しっかり説明してください。亀山さんはNPOで障害年金の普及活動しているのでしょう?」

痛いところを突きますねぇ……観念いたしました。
花恵さん、初診日は奥が深〜〜いですよ。

一言でいうと、原因となる病気で「通院を初めた日」です。しかし、それだけでは正確に言い尽くせません。

例えば、交通事故などで、手や足を切断するほどの重症を負い、すぐに救急車で病院へ運ばれた場合は、その「事故のあった日」が初診日になることが明らかです。しかし、ガンなどの内部疾患では、こんなに簡単に初診日が特定できるわけではありません。

圭太さんの場合は、障害の原因となる病気は胃ガンでした。
ここでマンガのおさらいです。
ガンの初診日は、次の内どちらでしょうか?

?胃の調子が悪くて通院をはじめた最初の診療日

?ガンと診断された病院の最初の診療日

答えは?の「胃の調子が悪くて通院をはじめた最初の診療日」です。
例えば、ヤブの『丸山医院』では、胃ガンが発見できず胃潰瘍と診断されました。 その後に受診した『東京病院』で、やっと胃ガンが発見されました。そのような場合でも、誤診をしたヤブの『丸山医院』で診察を受けた日が初診日となります。

健康診断

ねっ、奥が深〜〜いでしょう(^^♪。

奥の深さは、それだけではありません。

圭太さんの場合は、サラリーマン時代に会社の健康診断で胃の「要精密検査」を指摘されていました。その検査は胃カメラでしょう。
しかし、圭太さんは海外出張など多忙のため、検査を受けなかった。早期の胃ガンは自覚症状がないので放置したのでしょう。また、健康に対する過信があったのかもしれません。圭太さんのように、会社の健康診断で「要精密検査」が指摘された場合は、その「健康診断を実施した日」が初診日として認められます。

初診日は本当に奥が深〜いです。
まだまだ色々な「特例」があります。
この初診日を誤解すると、障害年金が不支給となる恐れがあります。
専門家である社労士に、ぜひ相談してください。

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初診日がなぜ大切か?

花恵「亀山さん……初診日、初診日っていうけど、初診日がどうしてそんなに大切な日なの?」

そうですね。
障害年金の受給にとって、この日がいつなのかで、全てが決まってしまうと言っても過言ではありません。
法律的にいうと………「初診日主義」といって、障害認定日を特定させる起点となり、年金加入要件や保険料納付要件を満たしているかどうかは、初診日を基準にして判断しているからです。

―――ちょっと難しかったですか?
年金加入要件とは、初診日に国民年金、厚生年金、共済年金のうち、いずれかの公的年金制度に加入していれば、原則支給されるということです。
また、初診日に加入していた年金制度から年金を受け取ることになります。

つまり、どの公的年金制度から障害年金が支給されるかを確定する基準日が初診日なのです。

亀山悩む

圭太さんの場合は、結局サラリーマン時代の厚生年金の期間に初診日がありましたから、厚生年金から障害年金を受給しました。しかし、もし失業・療養していた国民年金の期間に初診日があれば、国民年金から受給することになります。

国民年金より厚生年金の方が手厚い保護を受けられるので、助かりましたね。

また、保険料納付要件は、初診日時点からさかのぼって「今まで保険料をキチンと納めてきたか」を確認します。具体的には、滞納期間が長くないかをチェックしています。滞納期間が長いと障害年金が支給されないことがあります。

つまり、初診日前の滞納期間が問題となるのです。

まずは初診日の特定が「障害年金受給の第一歩」だと理解していただけましたか?

先頭

 

保険料納付要件って何?

花恵「その保険料納付要件について、もっと詳しく教えてください。読者さんの中には不安に思っている人もいるかもしれないわ。実際どれくらい滞納があるともらえないの?」

この保険料納付要件でつまずく人も大勢います。
もし、あなたが長期にわたり国民年金の保険料を滞納していたことがあるのなら要注意です。

難しいですが、ちょっとだけ耐えてください。
法律では、保険料納付要件を原則と特例に分けて定めています。
まず原則としては、「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間の3分の2以上が保険料納付済期間、または保険料免除期間で満たされていること」。
次に特例としては、「初診日の属する月の前々月までに直近の1年間 に保険料の滞納がないこと。ただし65歳未満である場合に限る」

これって、日本語ですか?あまりにも難しすぎますよね。

私がこれを「日本語」に翻訳すると、
・原則=20歳〜初診日までの全期間で3分の1以上未納がない
・特例=初診日前の直近1年間に未納がない

どちらかの条件を満たせばOK。両方満たす必要はありません。
つまり、長期間の滞納を放置していないか確認しているのです。

では、初診日の「前日」とは何を意味しているのでしょう?
保険料を滞納していた人が、障害状態になってから、初診日に保険料のまとめ払いをしようとしても「ダメですよ」ということです。
つまり「後出しジャンケン」はダメということです。

保険料納付要件でつまずく人の多くは、脱サラした自営業者や、 健康上の理由でサラリ−マンやOLを辞めた後、病気療養のために再就職できない人達です。所得保障がもっとも必要な人達なのに、障害年金がもらえないのは、悲しいことです。

この保険料納付要件を満たしているかは、障害年金の請求では最初の「難関」となります。ここでつまずくと、その人の障害状態がどんなに重くても、たとえ障害等級の1級に該当していたとしても、一歩も先に進むことはできません。

うつ病やガンで自宅療養中に解雇を言い渡され、治療費や生活費にどんなに困っていても、保険料納付要件に1カ月分でも足りなければ1円も年金は支給されません。

なお、初診日が20歳前ある人は、保険料納付要件は問われません。
20歳前は国民年金保険料の納付義務がないからです。
これは福祉的措置ですね。

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障害認定日って何?

花恵「初診日が大切なのはわかったわ。滞納って本当に怖いわねぇ。もう一つ質問……障害認定日って何の日なの?」

「5%オフの日」ではありません。すべりましたか(>_<)。

障害認定日とは、お体の具合である「障害の状態」を確認する基準日です。原則として初診日から1年6カ月たった日を指します。
法律で一律に決められているのです。

なぜ「1年6カ月たった日」なのでしょうか?
サラリーマンは、病気で長期休職すると健康保険から傷病手当金が支給されます。その支給期間が「1年6カ月」です。その後、病気が治らない人に障害年金を支給するという趣旨で「1年6カ月」という期間が決められているのです。

この障害認定日から3カ月以内の障害の状態にスポットをあてて、支給できるかどうか、支給するとすれば何級に該当するかを判断します。
この日に一定の障害の状態にあると認められると、翌月から年金の支給が開始されます。また、この基準日に一定の障害状態にあると、請求が遅れても、最大で5年間さかのぼって年金が支給されます。

図にするとこんな感じになります。

障害認定日

圭太さんも障害年金3級に決まったときは、約3年半分の年金を「さかのぼって」受給することができました。

圭太さんの場合、健康診断の初診日から1年6カ月たった日は、ちょうど胃ガン手術の後遺症がひどく、自宅療養しながら通院している時期でした。通院していた病院は、手術を受けた「ガン研究所」です。その病院で障害認定日時点の診断書を作成してもらったので、「さかのぼって」年金を受給することができました。

障害認定日に障害等級に該当しているかは、医師の診断書によって確認します。だから「さかのぼりのあるタイプ」で申請するときは
障害認定日から原則3カ月以内に通院していなければなりません。
通院していないと、どんなに障害状態が重くても「証拠」がないので、さかのぼりのある請求はできません。

では、障害認定日の頃に通院していなければ、障害年金を請求できないのでしょうか?

そうではありません。障害認定日の頃に通院していなくても、障害年金の請求はできます。ただし、さかのぼって請求することはできません。

この場合は、障害認定日には病状が軽くて、障害等級に該当していないが、その後に病状が悪化した場合と同じ請求タイプになります。法律的には「事後重症」といいます。年金は請求した月の翌月からしか支給されません。また65歳になると請求できなくなるという厳しい要件がプラスされます。

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障害等級って何?

花恵「なるほどねぇ・・・圭太さんは障害認定日に障害等級に該当していから、さかのぼって支給されたのね。ところで、その障害等級2級や3級ってどんな状態の人なの?」

1、2、3級の障害状態の程度は、「施行令」や「障害認定基準」で示されていますが、実際に一人ひとりの障害の状態に当てはめて、バシッと等級が決められるわけではありません。
障害の程度について「あいまい」な表現もたくさんあります。

まず、障害等級についてですが、その障害が重い順番に従って「1級、2級、3級」の3つのグレードがあります。国民年金の場合は、1級と2級のみです。国民年金では3級に該当しても受給できません。

障害等級

次に、障害年金がもらえる「障害の状態」についてですが、身体または精神に一定の障害の状態があり、その状態が長期にわたって存在するものと定められています。

この「障害の状態」ですが、おおまかには「日常生活能力」と「労働能力」で判断されます。
「日常生活能力」は、社会人として、日常の生活を他人に頼らないで送れる能力であり、一人暮らしを想定しています。「労働能力」は個々人の仕事における労働能力ではなく、一般的な仕事の労働能力を指します。

―――法律用語は抽象的でよくわかりませんね。

どんな病気やケガにも基本的に適用できる目安を、私なりに解釈しますと、こんな感じです。
1級は、寝たきりの状態です。
2級は、日常生活も大変で、働くことができません。
3級は、働くことができても、普通の人のようには無理です。

実際の障害の状態については、施行令のほかに、解説書として「障害認定基準」という通知があります。実際の障害年金の等級は、この医学的な解説書によって判断されます。

しかし、この解説書に示された基準によって、すべての病気やケガの障害等級が簡単に判断できるというわけではありません。

マンガの中で圭太さんは、最初に3級に認定されて、次に不服申し立てをして2級に繰り上がりました。しかし、審査された「参考資料」は、最初に提出した診断書や申立書だけです。こんなことになる理由は、施行令や障害認定基準で示されている等級ごとの「障害の状態」にも「あいまい」な表現があるということです。

その「あいまい」な認定基準を見極めて、医師が作成する診断書に、あなたの現実の障害状態をキチンと反映してもらうためには、専門家である社労士の力を借りることも一考です。

先頭

 

お医者さんの診断書で重要なことは?

花恵「私、圭太さんの診断書を見たとき、頭が真っ白になったわ。まさか余命が書かれているとは思わなかったの。診断書って開封してよかったのかしら?」

診断書

開封してはダメという規定はどこにもありません。
ただ、ガンの場合は、余命などが記入されていることもあるので、本人やその家族は慎重に扱うことが肝心です。一方で「余命」を併記することで等級認定されやすくなるともいわれています。
本当のところは、私が直接医師から受け取ればよかったと後悔しています。申し訳ありませんでした。

さて、その診断書について、もう少しだけ説明しましょう。
障害年金が受け取れるかどうか、何等級になるかは、提出された書類のみで審査されます。具体的には、医師が作成する「診断書」や代理人や本人が作成する「病歴・就労状況等申立書」の内容によって決まります。

特に重要なのは医師が作成する診断書の内容です。
その診断書は、傷病ごとに提出用紙が異なっています。各病気の提出用紙の項目にそって、病歴や予後や検査数値などを記入します。その中に、患者の日常生活能力や労働能力を記入する欄があり、ここに書かれた内容は重要なポイントの一つとなります。

しかし、この大切な診断書ですが、すべての医師がその書き方について精通しているわけではありません。医師は診断書の書き方について、医学生時代に教育を受けていないのです。身体障害者手帳は、書き方を習った指定医だけが作成できることになっています。一方、障害年金の診断書は、医師であれば誰でも作成できます。

したがって、実際のあなたの障害状態が、診断書にしっかり反映されない事態も起きます。また、診断書の必要記載欄に記入もれがあると、役所に受理されるまでの手続きに、多くの時間を費やすことになります。また、医師によっては診断書の作成を拒む方もいますが、これは医師法に違反しています。

ここで一番ご理解いただきたいことは「主治医が障害年金の等級を決めるわけではない」ということです。
しかし、患者さんにとって、医師は命をあずける大切な存在です。障害年金の請求にあたっても、ぜひとも信頼関係を崩さずにコミュニケーションを図りたいものです。

亀山と医師

医師との円滑なコミュニケーションを図るために、第三者として専門家である社労士を介入させることも一考です。

また、社労士は診断書の事例を、たくさん保有していますので、あなたの実際の障害状態を診断書に反映するための重要ポイントを医師に説明できます。

さらに、年金の請求手続きが遅れて翌月になってしまうと、ひと月分受給額を損することがあります。この場合は請求が遅れれば遅れるほど受給額が減ります。診断書の記載漏れを指摘し、迅速に対応するためにも、社労士に代行申請を依頼するメリットはあると思います。

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いつお金はもらえるの?

花恵「ハイハイ、社労士のPRはもう十分・・・きっと読者さんも考えてくれているわ。そんなことより、年金請求書類を役所に提出してから決定があるまで、一般的な審査期間が何カ月か知りたいわ」

ハイハイ、了解です(^_^;)。
審査の期間は、国民年金で3〜4カ月、厚生年金で6〜8カ月です。
しかし、もっと時間がかかることもあります。

例えば、提出された診断書などで不明な点があると、本人や医師に照会が行われます。そのような場合は決定が大幅に遅れることになります。

年金を受ける権利が決定されたときは、日本年金機構から「年金証書」と「年金決定通知書」が送付されてきます。また、年金が受けられないときは、「不支給決定通知書」が送付されます。

実際のお金が振込まれる時期は、年金証書が届いてから次に「振込通知書」が送られ、本人の振り込み指定口座に、初回の年金振込がされます。

次回からは偶数月に2カ月分が振り込まれます。

先頭

 

働いたら障害年金はストップするの?

花恵「圭太さんはガンと戦いながら働くことを決意したの。もし働き始めたら、障害年金はストップしちゃうの?」

圭太の決意

いいえ、止まりません。
働き始めたからという理由だけで、すぐに障害年金の支給がストップすることはありません。また、働いて高収入を得ても減額されることもありません。

ただし、障害の程度が軽くなった場合は、等級が下がり減額されることや支給を停止することはあります。
法律では、「受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しない間は、その支給を停止する」と規定されていますが、それは「障害の状態に該当しない間」の支給停止であり、就労していることを理由とする支給停止ではないのです。

一方で、収入が増えると減額されたり、支給停止する障害年金もあります。
それは「20歳前傷病」による障害基礎年金などです。

「20歳前傷病」の受給者は、保険料を払ったことがありません。福祉的な年金制度なのです。だから一定以上の収入があると、半額または全額支給停止となります。

また、所得との関係で税金についてですが、障害年金や遺族年金は課税対象外です。老齢年金のように年金から所得税が天引きされることはありません。 したがって確定申告も不要です。

先頭

 

不満なら行政に楯突こう!

花恵「圭太さんは3級だったけど、審査請求したら2級に繰り上がったわ。支給額も60万円から200万円にアップして助かっちゃった。誰でも決定に不満があれば、審査請求したほうが得なの?」

審査請求

私は得なことが多いと思います。

まずは審査請求について説明しましょう。
審査請求は、年金の法律に定められた「不服申し立て制度」です。
裁判しなくても、行政側の決定を見直してもらえる機会なのです。
「障害年金を受給できない」「決定した等級に不満がある」場合は、社会保険審査官に審査請求することができます。審査請求は、決定から60日以内にしなければなりません。
その決定に不服があるときは、通知から60日以内に社会保険審査会に「再審査請求」することができます。その決定でも納得できなければ、最終的に裁判を起こすこともできます。
私は、診断書の内容を障害認定基準や先例と照らし合わせて、明らかに「行政の決定はおかしい!」と思ったら、審査請求するべきだと考えています。

なぜなら、もし今回の不支給にこりて、数年後に請求することにした場合、もう一度書類をそろえなおさなければならず、同じ程度の障害の状態が続けば、また不支給となる可能性が高いからです。

審査請求とは不支給決定を覆すことが目的なので、新しい証拠である医師の意見書などを添付すると有利になります。
しかし、最初に提出した診断書などの内容から、「勝てる!」と思われれば、新しい証拠なしで審査請求することも有効です。

マンガの圭太さんの場合も、新しい証拠をつけることなく、変更すべき根拠を明らかにして審査請求し、見事に成功しました。しかし、マンガのように上手くいくケースは、少なくなってきています。

面倒くさい

障害年金の請求は、最初の請求が一番通りやすく、「一発勝負」の面があります。最初の請求に全力をつくし、準備を万全にしたほうが得策です。専門家である社労士に相談することも一考でしょう。

特に審査請求や再審査請求を行う場合は、専門家である社労士に相談した上で、周到に準備して臨むことがベストでしょう。
審査請求の話になると、ついつい熱くなっちゃいますねぇ。

先頭

 

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